筆耕の仕事をしていると、どんな字が一番書きにくいですか?と時々質問されます。
多くの筆耕士にとって難しいと感じる字といえば、1,2,3といった普通の算用数字でしょうか。
特に封筒・ハガキ宛名書きの「郵便番号」が実は難しいです。住所よりもさらに小さめの字で、小さい枠のなかに数字を埋めていくのが、地味でありながら難しいと感じます。
ちなみに、封筒宛名書きの郵便番号だけは、筆で書かずにボールペンやサインペンで書く方が、プロのなかにもいる、と聞いたことがあります。その理由は「郵便番号を筆で書くとバーコードで読み取れないことがあるらしいので、郵便番号だけは筆以外の筆記用具で書く」とのこと。でも本当の理由は「郵便番号を筆で書くのが難しいから!?」なのかもしれません。
縦書きの場合は、住所などは一、二、三といった漢数字で書くので書きやすいです。
圧倒的に横書きが多い「結婚式招待状封筒宛名書き」場合、郵便番号はもちろん、(横書きの場合は)住所も1,2,3といった算用数字で書きます。曲線が多い算用数字を小さい字で毛筆で、しかも美文字で書くのは実は結構難しいのです。私も何度も何度も練習しました。
実用書道の学校の先生は、「書きにくかったら、数字は無理に一筆で書かなくてもいいですよ」とおっしゃいましたが、書道師範のプライド?にかけても、一筆でさらっとプロっぽく書くことが多いです。
では、画数の多い漢字はどうか?といえば、もちろん難しいです。賞状の場合はまだよいのですが、封筒宛名書きの住所の場合、文字が小さいため「しっかりと筆を立てて穂先を使い、線と線とがくっついて真っ黒になってしまわないように」息を止めて注意を払って書いています。
結婚式招待状封筒宛名書きのなかで、よく登場する住所のうち、いつも苦労するのは「三鷹市」です。「鷹」という字が画数が多いので、細く美しく、「三」に比べてあまり大きくなりすぎないように、一呼吸置いてから書くようにしています。
では反対に、書きやすい字とはどんな字でしょうか?私の場合、カタカナが最も書きやすいです。ご高齢の女性の名前で「トミ」「イネ」「タネ」といったカタカナ2文字のお名前を時々お見かけしますが、大変書きやすいです。画数が少ないこともさることながら、カタカナの直線的な字は、ひらがなに比べて、とても書きやすいです。
そういえば、昔の子どもたちは、ひらがなよりも、先にカタカナを学校で習ったそうですね。書きやすさ、のことだけを考えると、カタカナから先に習うというのは理にかなっているのかな、と思います。
筆耕サンプル・見本はこちら をどうぞ♪